本をスキャンしているが、ほぼすべて右綴じである。これは対象が小説とコミックだからである。
そのため、手元で作っているツールは右綴じに依存してしまっている。(フィードを安定させるのと、速度のため) 横向きにスキャンするので後から画像を回転するのだがそれは綴じ方に依存するし、PDF を生成する時に見開きを表示できるようなモードを設定するという点もある。
さて、右綴じが大多数なのはそうなのだが、例外もある。たとえば「まんがサイエンス」は左綴じである。
というわけで左綴じをサポートしたいわけであるが、どうするか。右綴じな本のストックは当分尽きないのでべつに急ぐ必要はないけれど。
とりあえず問題をもっと一般的な形で理解したい。まず、世の中には右綴じと左綴じ以外の綴じ方はあるだろうか?
検索すると、やはりあるようだ。上綴じ(天綴じ)、下綴じ(地綴じ) という用語の説明が見つかった。
また、本屋で探してみると、上綴じの本がたしかにある。絵本のコーナーに「人体絵本 --- めくってわかる からだのしくみ」というのがあった。
同じく絵本のコーナーにあった「おれさま、ばいきんまん!」というのも興味深かった。左綴じなのだが、右側が直線でなく、ばいきんまんの顔の輪郭にそって断裁されている。(アンパンマンおよびドキンちゃんもあって同様だが、そっちが半円であるのに対し、ばいきんまんはそれより複雑な輪郭である) このように断裁されていると、スキャナにフィードするにも制約が生じるだろう。
まぁ、スキャナにフィードするときの制約でもっとありがちなのは本のサイズであろう。いまのところ A6・新書判・B6・A5 しかスキャンしていないので すべて横にしてスキャンできているが、A5 の長辺が 210mm で、ScanSnap S1500 でスキャン可能な幅が 216mm なので、A5 がほぼ限界である。もっと大きくなると入らなくなる。
フィードする方向については、直線でない断裁を考慮すれば、任意の方向でフィードすることをサポートすべきだろう。長方形を仮定するなら大きなサイズについては上からか下からかどちらかを決め打ちしてもいいかもしれない。
さて、画像を回転できたとして、見開きを表示できるような PDF にするにはどうしたらいいか。
「PDF文書の「綴じ方」を変更する方法について」によれば、
文書の綴じ方の情報は、ViewerPreferences内のDirectionエントリに記録されます。 このパラメータのデフォルトは"L2R"であり、Acrobat のUI上は「左」として表示されます。 この値を"R2L"に変更することで、綴じ方を「右」に変更できます。 文書カタログの詳細につきましては『PDF Reference third edition』の「3.6.1 Document Catalog」を、 ViewerPreferencesの詳細につきましては「8.1 Viewer Preferences」をご参照ください。
だそうである。
あと、PDF の仕様をみると、ViewerPreferences 以外に、PageLayout も関係していそうである。
さて、右綴じと左綴じは PDF でサポートされている感じであるが、上綴じと下綴じはどうだろうか。
上綴じは普通に 1カラムで連続的に表示すれば見開きが表示できそうである。(ディスプレイの高さが十分にあれば。あるいは十分に縮小すれば)
下綴じは難しい。PDF で見開きをうまく表現することはできそうにない。
「読めない本」(ブルーノ・ムナーリ) というアート作品があるようだ。
どの綴じ方としてみても読めるというのだが...
大きな紙はどうスキャンするか。雑誌の折込とか、ポスターとか。
検索すると、分割してスキャンして後からつなげるらしい。
フォトレタッチソフトでやるという方法もあるが、パノラマ写真を作るツールも使えるようだ。
後者には Hugin というのがあるらしい。
ページ番号が気になる。
いままでにみた範囲では、最初の口絵か、カラー印刷でない最初のページ (口絵の直後) が 1ページのことが多い。
しかし、「図書委員長の品格」はそうではない。口絵はないので、最初の扉が 1ページかと思うとそうではない。ページ番号が書いてあるページからデクリメントしていくと、それは 3ページなのだ。
うぅむ。表紙が 1ページなのだろうか。
本屋に行って雑誌をいくつか眺めてみる。
まぁ、最後の以外はわかっていたけれど。
縦方向も一定でないという実例があったのは収穫で、ページのサイズが一定という仮定は縦にしても横にしてもよろしくないことが確信できた。横方向については、文庫本で、折り込まれている口絵という例があったのでわかっていたのだが。
それはそれとして「折り込み」というと本に綴じ込まれているものと、単に挟み込まれているだけのものを区別できないのがなんだな。
ふと、見開きのことを考えているうち、本を読むときに、視線移動が少ないものが良い組版なのではないかという仮説を思いついた。
とりあえず、縦書きは右綴じ、横書きは左綴じ、というのはその仮説に合う。見開きのうち、先のページの最後の文字から、後のページの最初の文字への距離は、だいたいページの高さで済む。もし逆の綴じ方なら、だいたい見開きの対角線になってもっと長くなってしまう。
だが、一段組と二段組では、視線移動の合計はあまり変わらない気がする。そうすると、評価値としては文字間の視線移動の最大値を採用したほうがいいか?
それはそれとしてしかし、視線移動の少なさなら牛耕式が最強な気がするが、それが滅びていることを考えると、なにか視線移動よりも優先する要素があるとしないと説明できないか。
浮動小数点演算に対する認識の変化を考えると、以下のようになる気がする。
C に対する認識の変化を考えると、以下のようになる気がする?
右綴じ・左綴じ・上綴じ・下綴じ以外になにかあるかなぁ、と調べると、 巻物と 折本が見つかる。でもあまり身近なものではない。
身近になにかないかなぁ、と考えていると、文庫本などの折り込み広告に気がついた。
折り込み広告は一枚の紙を折り畳んで本に挟んでああって、綴じていないので、読むべき順序はあまり明瞭ではない。また、いろんな本の広告の集合体であって、読むべき順序という概念自体が希薄である。でも、折り畳んだ状態での表紙はあるし、順序がまったくないわけでもない。
手元にあった電撃の缶詰(2011/5)をみると、それなりに順序を考えて作ってある気がする。表紙があり、裏表紙は独立した内容になっており、一回開くと見開きでひとつの作品(電波女と青春男)の広告になっているという具合である。
驚愕に入っていた「『涼宮ハルヒ』関連商品」というのはちょっと微妙である。表紙はあるが、裏表紙は完結した内容ではない。文庫の既刊が横に並んだ2ページで紹介されているうちの左のページが裏表紙になっている。横書きのような並びで既刊が並んでいて、憂鬱・溜息・暴走・動揺・分裂 (つまり 1,2,5,6,9 巻) だけが裏表紙に出ている。さらに既刊のひとつひとつの説明は縦書きで、さらにさらに既刊と既刊のあいだの空白は上下の空白より左右の空白の方が広い。うぅむ。
Scroll に載っている写真を見ると、巻物の中にページがあるのだが、そういうものなのか?
日本語の巻物だと、ページ分割はされないイメージがある。(実際にどうかというのは知らないが)
(掛け軸のように) 縦に巻けば、横書きの言語でもページ分割は不要だとおもうのだが。
Scroll で画像検索をして見ると、横書きで縦に巻いてあるものもいくつか見つかるので、ないわけではないようだが。
[latest]